基本データ
ブロードウェイ・ミュージカル『アナスタシア』(Anastasia)
ジャンル:歴史ファンタジーロマン
初演:2016年(ハートフォード・ステージ)※2017年にブロードウェイへ進出
日本での上演カンパニー:梅田芸術劇場(2020年~)、宝塚歌劇団(2020年~)
オリジナル・スタッフ:テレンス・マクナリー(脚本)、ステファン・フラハティ(音楽)、リン・アレンス(作詞)
キャラクター
アーニャ
・記憶喪失の少女
・一家滅亡したロマノフ家の皇女・アナスタシアによく似ている
・自分の過去を取り戻すためにディミトリ達と共に行動する
代表曲:「Journey to the Past」
ディミトリ
・両親を早くに亡くし、逆境を生き抜いてきた孤児
・今は詐欺師として生きている
・アーニャをアナスタシアとして仕立て上げ、大金を騙し取ろうと企てる
代表曲:「My Petersburg」
グレブ
・ボリシェビキの将官
・ロシア政府よりアナスタシアの暗殺命令を受ける
・アーニャに密かに恋心を抱き、自身の立場との間で葛藤する
ヴラド
・ディミトリとタッグを組む詐欺師
・過去にマリア皇太后の側近リリーと恋愛関係にあった
マリア皇太后
・ロマノフ家の皇太后
・孫娘のアナスタシアを探し続けている
リリー
・マリア皇太后に仕える伯爵夫人
あらすじ
第一幕
舞台となるのは、20世紀初頭のロシア・サンクトペテルブルク。
ロシア最後の皇帝一家であるロマノフ家は、後のソ連共産党であるボリシェビキからの襲撃を受け滅亡してしまいます。
しかし街中では、ロマノフ家の皇女<アナスタシア>が生き残っているという噂が人々の間に広がっていました。パリに移住しており一家惨殺を逃れた<マリア皇太后>は、賞金を懸けて孫娘のアナスタシアを探し続けています。
これを聞きつけた詐欺師の<ディミトリ>と<ヴラド>は、アナスタシアに仕立てた女性で大金を騙し取ることを企てますが、なかなか適任が見つかりません。
そんな中、2人の元へ現れた<アーニャ>という少女。アーニャは記憶喪失でかつどことなくアナスタシアに似ており、2人の計画にはピッタリの人材でした。
ディミトリとヴラドは計画の実現に向け、アーニャに皇室の歴史や作法を叩き込みます。すると時折、教えていない内容を完璧にやってみせるアーニャ。彼女は本当にアナスタシアかもしれない、という希望が芽生え始めます。
計画が順調に進む中、ボリシェビキの将官である<グレブ>はアーニャに警告をします。このままアナスタシアになりすまし続けると君の命はない、と。グレブの父はかつてロマノフ家を惨殺したボリシェビキの1人で、今もボリシェビキはアナスタシアの命を狙っています。しかしグレブは自分の立場とは裏腹に、密かにアーニャへ思いを寄せていました。
それまで何かといがみ合うことの多かったアーニャとディミトリですが、アーニャが嫌がらせに対し果敢に立ち向かったことをきっかけに、ディミトリは心を開き始めます。
ディミトリが幼少期からペテルブルクで1人生き抜いてきた話を聞き、同じく孤児であったアーニャも心を通わせていきます。
その後、紆余曲折ありながらもロシアからの出国を果たした3人。
アーニャは、ついに真実を手に入れるかもしれないことへの怖さを感じながらも、勇気を出して自分の過去を取り戻すための旅路へ踏み出します。
第二幕
パリに到着した3人は、ヴラドのかつての愛人で、マリア皇太后に仕える<リリー>の協力を得て、アーニャと皇太后の面会の機会を手に入れます。
一方グレブはロシア政府の命を受け、アーニャ達を尾行し動向を伺っていました。アーニャが本当にアナスタシアだった場合、彼女を殺害するためでした。
皇太后との面会前夜、悪夢にうなされるアーニャをなだめ、ディミトリは少年時代の話を始めます。パレードの群衆の中で誰よりも輝き、少年ディミトリに対して微笑んだ少女アナスタシアが忘れられない、と。
それを聞いたアーニャは、その少年は少女に向かってお辞儀をしたのだと口にします。一度も話したことのない出来事を語るアーニャに、ディミトリは彼女こそがアナスタシアであると確信します。
ついに皇太后と対面するアーニャ。しかし皇太后は彼女を頑なに拒絶します。これまでも賞金目的で何人もの偽物が訪れており、皇太后は心を擦り減らしていたのでした。
ディミトリとヴラドは賞金目的でここへ来たのだ、と皇太后に聞かされたアーニャは激怒し、帰るための身支度を始めます。すると状況が一変し、アーニャとの面会を受け入れた皇太后がやってきます。ディミトリの熱意ある説得が皇太后の心を動かしたためでした。
皇太后を前に、当事者でないと知り得ない出来事を次々と語るアーニャに、皇太后はこの子こそがアナスタシアだと認めます。2人は熱い抱擁を交わし、アーニャはついに自分の過去を取り戻したのでした。
翌日、ディミトリは静かに姿を消し去ってしまっていました。アーニャとのあまりにも大きな身分の差に、この恋は決して叶わないものだと諦念していたためです。
皇太后はアーニャに、ディミトリが賞金を受け取らなかったことを伝えます。アーニャは自身の抱くディミトリへの恋心にハッキリと気付きますが、皇女としての身分を捨てるべきではないと心を悩ませます。
皇太后はそんなアーニャに対し、自分は孫娘と再会できたことでこの上無い幸せを貰った、次は貴女が幸せになる番だと語ります。どこに居てもずっと家族だとアーニャの背中を押し、アーニャはディミトリと一緒になる決意をします。
ディミトリを追いかけようとするアーニャの前に、グレブが現れます。グレブは父の意志を受け継ぎボリシェビキとしての任務を全うするため、アーニャに銃を向けます。しかし自身のアーニャへの思いと葛藤した末、心の声に従いアーニャを逃すのでした。
アーニャとディミトリは再会し、2人で新たな未来に向けて歩み出していきます。
マリア皇太后とグレブは、「彼女は夢の存在であった」と人々に告げ、アナスタシアの伝説は幕を閉じました。
まとめ
ブロードウェイ版でも使用された美しい衣装や繊細なLED映像を用いた舞台装置など、見どころ満載なミュージカル。
そして何より、おとぎ話のようにときめきに満ちたストーリーとそれを彩る楽曲に、誰もが魅了されること間違いなしな作品です。