プロダクト(作品)を作ることに頭がいっぱいで、リピーターを増やす施策を徹底しなかったり、「あそこの劇団は作品は好きなのだけど、いつも椅子が硬くて・座席が狭くて、行くのが億劫になってしまった」など観客が求めるものまで理解が及ばずに、集客が減ってしまう。といったケースがよく見られます。作品をつくるのと同じくらい、集客つまりマーケティングについて対策するのが重要だと考えさせられる機会に多く立ち会ってきました。逆に観客目線に立った集客を実践し、成功している劇団があるのも事実です。
ただし、なかなかマーケティングの考え方を劇団内で学ぶことは難しいですよね。そこで、今回の記事では、劇団の集客と、成長に使えるマーケティングの「フレームワーク」をご紹介します。このフレームワークを参考に、劇団の現在を把握し、今後の成長戦略を決め、劇団の大きな成功に繋げてください。
劇団の制作現場だとあまり「マーケティング」という言葉を使わないかもしれませんが、「集客するための活動や行動」のことをこの記事では「マーケティング」と呼ばせていただきます。
※マーケティングと似た言葉に「ブランディング」という言葉がありますが、実際に顧客(観客)が足を運ぶための施策や思考がマーケティングで、集客抜きでの劇団や作品の見せ方をブランディングと言います。
今回ご紹介するフレームワーク「3C分析」は、
・Customer(顧客=観客)
・Company(自社=自分の劇団)
・Competitor(競争相手=競合となる劇団)
の3つの視点から現状を考察することで、顧客(観客)のニーズや期待を理解し、自社の強みや弱みを把握し、競争相手の戦略を分析することができます。それでは、劇団を例に解説していきます。
※上記の解説で理解できた方は、最後に劇団向け3C分析のテンプレートがあるので、そこまで読み飛ばしで早速実践してみてください。
Customer(顧客=観客)
顧客(観客)の「セグメンテーション」
まず、顧客(観客)について考えてみましょう。劇団にとっての顧客は多岐にわたります。顧客を理解するためには、セグメンテーションが重要です。顧客をいくつかのセグメントに分けることで、ターゲティングが容易になります。
例えば、年齢層で分けると、
・子供
・若者
・中高年
・シニア
という具合に分類できます。
また、関心分野で分けると、
・ミュージカル
・ストレートプレイ
・朗読
・ダンスパフォーマンス
などが挙げられます。
観劇頻度でも分けられ、
・定期的に観劇する人
・時折観劇する人
・初めて観劇する人
といった具合に分類できます。
さらに、動機によっても分けることができ
・エンタメ性を求める人
・芸術性を求める人
・特定の役者や演出家を応援する人(ファン)
などが考えられます。その劇団によって、もっと細分化できると思います。
顧客(観客の)「ニーズと期待」
次に、顧客(観客)のニーズと期待について考えましょう。顧客(観客)が劇団に求めるものは多様です。
・演技や演出、脚本
・アクセスのしやすさ(劇場の場所、アクセスの便利さ、チケットの入手しやすさ)
・価格設定
・劇場で過ごす時間全体の質(劇場の雰囲気、座席の快適さ、スタッフの対応、関連するイベントやグッズ販売など)
顧客(観客)の購入パターン
顧客(観客)の購入パターンを理解することも重要です。顧客がどのように情報を得て、チケットを購入し、劇場に足を運ぶかを把握することは、マーケティング戦略の策定において欠かせません。
・情報収集経路(SNS、劇団の公式ウェブサイト、口コミ、メディアのレビュー)
・購買プロセス(オンラインチケット販売、電話予約、当日販売)
・フィードバックとリピート(フィードバックを元にサービスやパフォーマンスの改善を図ることができているか)
Company(自社=自分の劇団)
次に、自社、つまり自分たちの劇団についての分析を行います。自社の分析は、劇団が持つリソースや能力、独自の強み・弱みを理解することを目的としています。
劇団の強み・弱み
・役者や演出家、脚本家
・レパートリーの多様性
・知名度(検索数や、劇団や劇団員のフォロワー数)
・ファンベース(安定した集客基盤)
リソースと能力
・劇団員の能力
・物的資源(設備、衣装、道具、音響・照明機器)
・財務的資源(資金調達能力、スポンサーや助成金の有無)
・ネットワークの強さ(著名人やインフルエンサーとのつながり、文化施設・メディア・スポンサーとの関係性)
市場でのポジショニング
劇団が市場でどのようなポジションを占めているかを理解することは、競争戦略を策定する上で欠かせません。
・差別化要因
・競争優位性
・市場シェア
・客観的な評価&評判
Competitor(競争相手=競合となる劇団)
最後に、競争相手についての分析を行います。競争相手の分析は、自分たちの劇団がが市場でどのように競争していくかを考えるための基盤となります。
競争相手の特定
劇団にとっての競争相手は、同じ地域で活動する他の劇団だけでなく、広義にはエンターテインメント産業全体です。具体的には、直接の競争相手として他の劇団が考えられますが、間接の競争相手としては映画館、音楽コンサート、スポーツイベントなども挙げられます。これらと顧客(観客)の時間とお金を奪い合うことになります。
・直接の競争相手(他の劇団)
・間接の競争相手(映画館、音楽コンサート、スポーツイベント)
競争相手の強みと弱み
・劇団員のスキルや知名度
・物的資源(設備、衣装、道具、音響・照明機器)
・財務的資源(資金調達能力、スポンサーや助成金の有無)
・ネットワークの強さ
競争戦略
作品以外で、自社がどのように対抗するかを考えることも重要です。
・価格戦略(チケット価格設定)
・プロモーション戦略(広告、SNSなど)
・顧客維持戦略(リピーター特典、メンバーシッププログラム)
以上のように、3C分析を通じて、劇団は顧客のニーズや期待、自社の強みと弱み、そして競争相手の戦略と特徴を総合的に理解することができます。これにより、より効果的なマーケティング戦略を立案し、競争優位を築くことが可能になります。例えば、特定の顧客セグメントに焦点を当てたターゲティングや、競争相手との差別化を図るためのユニークな作品の提供、顧客(観客)体験を向上させるための劇場環境の改善などが考えられます。3C分析は、劇団の持続的な成功と成長に不可欠なツールです。
まとめ
- Customer(顧客=観客)
- 顧客のセグメンテーション:年齢層、関心分野、観劇頻度、動機で分類。
- ニーズと期待:高品質な演技と演出、アクセスのしやすさ、適切な価格設定、全体的な観劇体験。
- 行動パターン:情報収集経路(SNS、公式サイト、口コミなど)、購買プロセス(オンライン、電話予約、現地購入)、フィードバックとリピート率の向上。
- Company(自社=自分の劇団)
- 劇団の強み:高品質なパフォーマンス、多様なレパートリー、ブランド認知度、忠実なファンベース。
- リソースと能力:質の高い人的資源、充実した物的資源、財務的資源の強化、強固なネットワーク。
- 市場でのポジショニング:差別化要因、競争優位性、市場シェアの把握。
- Competitor(競争相手=競合となる劇団)
- 競争相手の特定:直接の競争相手(他の劇団)、間接の競争相手(映画館、音楽コンサート、スポーツイベント)。
- 強みと弱みの評価:公演の質、マーケティング力、ブランド力、資金力などを分析。
- 競争戦略:価格戦略(チケット価格設定)、プロモーション戦略(広告、SNSキャンペーンなど)、顧客維持戦略(リピーター特典、メンバーシッププログラム)。
3C分析を活用することで、劇団は市場における競争優位を築くための具体的な戦略を策定し、顧客のニーズに応えつつ、自分たちの劇団の強みを最大限に活用することができます。これにより、劇団の持続的な成長と成功を目指すことが可能となります。
劇団の成長を支える3C分析のテンプレート
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