言わずと知れた宝塚歌劇の代表作「ベルサイユのばら」、通称”ベルばら”。
宝塚歌劇の中での「歌舞伎」と言われるほど、独特のセリフ回しが特徴的。
そんなベルばら、実は何種類もあるのをご存じでしたか?
そこで今回は、「ベルサイユのばら」を、「登場人物」や「あらすじ」など、あらゆる角度から比較してみました。
■ベルばら これまでの上演回数や作品について
2006年に通算公演回数1500回を超え、2014年に観客動員数500万人を越えるほど、何度も再演され続けているベルばら。
ざっくりわけると2種類あります。
- 主人公フェルゼンパターン(『フェルゼン編』『フェルゼンとマリーアントワネット編』)
- 主人公オスカルパターン(『オスカル編』『オスカルとアンドレ編』)
もっと詳しく言うと『アンドレ編』とか外伝(アラン編、ジェロ―デル編、ベルナール編)とかあるんですが…何しろ20回以上再演されていてキリがないので今回は2001年以降の本編作品に絞って比べていきたいと思います。
■主人公フェルゼンパターンの共通点と違い
主人公フェルゼンパターンには2種類の演目があります。
- 『フェルゼン編』
- 『フェルゼンとマリーアントワネット編』 (通称フェルマリ編)
▼①②の共通点:「トップ男役が〈フェルゼン〉を演じる」など
この2種類はトップ男役が〈フェルゼン〉を演じます。
トップ娘役は〈マリー・アントワネット〉。①『フェルゼン編』でも②『フェルゼンとマリーアントワネット編』でも、どちらでもポスターはフェルゼンとマリーアントワネットがセンターに映ります。この2パターンの場合、2番手男役は〈オスカル〉。〈アンドレ〉は3番手か、他組からの特別出演というパターンが多いです。
こちらの話の本筋はフェルゼンとマリーアントワネット、なので主人公オスカルパターンと違ってオスカルが死んでも舞台は終わらず、アントワネットが処刑されるところまで続きます。
また、フェルゼンとアントワネットの周りの人間もこの2パターンにしか出てきません。たとえばアントワネットの後見人であるメルシー伯爵や国王ルイ16世、フェルゼンの妹ソフィアなど。
そしてフェルゼンとアントワネットの持ち歌もこの2パターンにしか登場しません。代表的なものが「♪アン・ドゥ・トロワ」「♪駆けろペガサスの如く」「♪愛に帰れ」、最近新曲としてよく歌われる「♪王妃、その罪の先に」などです。
▼①②の違い:「ストーリーの始まり方」など
同じ主人公フェルゼンパターンでも違いがあります。
①『フェルゼン編』ではフェルゼンとマリーアントワネットの恋仲がバレ始めた頃から物語が始まります。オスカルの話も並行して進んでいくので、なかなかフェルゼンとアントワネットの話にたどり着かず、アントワネットに至ってはプロローグのあとはフェルゼンに別れを告げられるまで出てきません。
一方で②『フェルゼンとマリーアントワネット編』はアントワネットがオーストリアからフランスへ輿入れするところから。なので、②フェルマリ編にはアントワネットの少女時代という役があります。そして輿入れ後も早い段階でフェルゼンが登場し、アントワネットと湖で逢瀬を交わすシーンもあります。
▼主人公フェルゼンパターン 登場人物・配役
・フェルゼン〈トップ男役〉
スウェーデンの貴族の青年。フランス留学中にアントワネットと恋に落ちる。
・マリーアントワネット〈トップ娘役〉
フランスの王妃。純粋で世間知らず。フェルゼンを愛している。
・オスカル〈2番手男役〉
近衛隊長、後に衛兵隊長。アントワネットの元側近。フェルゼンが好き。
・アンドレ〈3番手男役〉
オスカルの幼馴染で使用人の孫。実は失明寸前。
・アラン〈3番手男役〉
衛兵隊士。腕っぷしが強く、情に厚い。オスカルのことが好き。
・ベルナール〈3番手男役〉
新聞記者。貴族だが平民の声を聞こうとするオスカルを信頼している。ロザリーの夫。
・ルイ16世
フランス国王。錠前づくりと狩りにしか興味がない。フェルゼンにも優しく接する。
・メルシー伯爵
アントワネットの後見人。アントワネットのことを案じ続けている。
▼フェルゼン主人公パターン あらすじ
(★赤字は①フェルゼン編のみ、青字は②フェルゼンとマリーアントワネット編のみ)
オーストリアの皇女・マリアはフランス王太子のもとへ嫁ぐことになり、後見人であるメルシー伯爵と共にフランスへ向かった。
時は経ち、フランスの情勢は怪しくなってきていた。近衛隊長として活躍していたオスカルはフェルゼンとアントワネットの醜聞も原因の一端であると二人の関係に危機感を抱く。フェルゼンに忠告するも、君に恋はわからないと突っぱねられ、フェルゼンへの恋心を抱くオスカルは傷つく。オスカルの心配をよそに王妃と逢瀬を続けるフェルゼン。ある日アントワネットの後見人、メルシー伯爵がフェルゼンのもとを訪ね、「このままではアントワネットの地位が危ない、フェルゼンはスウェーデンへ帰ってほしい」と告げる。事の重大さを理解したフェルゼンはベルサイユへ別れの挨拶に訪れ、愛するアントワネットと親友オスカルへの敬愛を胸にスウェーデンへ帰るのだった。
スウェーデン、フェルゼンの屋敷。
フェルゼンのもとを近衛隊長ジェロ―デルが訪れ、オスカルの死を報告する。フェルゼンは動揺し、詳しく話を聞こうとする。
オスカル率いる衛兵隊にパリへの出動命令が下り、その日の夜、オスカルはアンドレを自室に招き、「私を抱け」と告白する。深い想いでついに結ばれたオスカルとアンドレは朝を迎え共に戦闘へ向かう。オスカルは信念のとおり、国王の命に反し、衛兵隊を連れて民衆と共に戦うことを選ぶ。戦闘のさなか、アンドレが凶弾に倒れる。泣き叫び駆け寄ろうとするオスカルを必死に止めるアラン。オスカルは涙を堪えながら再び戦闘に戻るがついにオスカルも撃たれてしまう。そのとき国王派の象徴バスティーユ牢獄が陥落。民衆勝利の瞬間を見届けてオスカルは息絶える。
オスカルの死に様を聞いたフェルゼンは王妃を救出しようと再びフランスへ向かう。
フランスは革命によってさらに混迷を期していた。衛兵隊士だったアランは革命は失敗だとベルナールらと共に王妃を逃がす作戦を練り始める。
その頃アントワネットはパリで子供たちと引き離され、絶望に暮れていた。
ついにアントワネット死刑の日が決まり、アントワネットは訪ねてきたメルシー伯爵と昔を懐かしむ。するとそこへフェルゼンが現れる。脱獄の手筈を整えてあるとアントワネットを促すがアントワネットは王家の誇りとフェルゼンの愛を胸に断頭台へ向かうことを選ぶのだった。
■主人公オスカルパターンの共通点と違い
主人公オスカルパターンにも2種類の演目があります。
- 『オスカル編』
- 『オスカルとアンドレ編』 (通称オスアン編)
▼①②の共通点:トップ男役が『オスカル』を演じる など
この2種類はトップ男役が『オスカル』を演じます。
アンドレは2番手男役や、他組のトップ男役が特別出演することなども多いです。
話の本筋はオスカルとアンドレ、なのでフェルゼンとマリーアントワネットは登場しません。登場したとしてもフェルゼンが1シーンだけとか…。なので、トップ娘役はロザリーを演じます。もちろんポスターもオスカル1人かオスカルとアンドレ…。娘役ファンとしてはポスターの切手サイズに涙をのむことが多いパターンです。
この2種類にのみ登場するのが5人のオスカルの姉たち。そして長女オルタンスの娘、ルル―ちゃんも出てきます。
そしてこちらはオスカルの一生涯を凝縮した作品なので子供or少年?時代のオスカルが出てきます。あと最近で言うと、この2パターンのときは確実に乗り物が出てきます。
曲に関しては、オスカルとアンドレはフェルゼン編、フェルゼンとマリーアントワネット編にも登場するので同じものも多いのですが、アンドレの「♪心の白ばらのひと」や「♪我が名はオスカル」などはオスカル主人公パターンでしか歌われないことが多いです。
▼①②の違い ストーリーの始まり方 など
同じ主人公オスカルパターンでもこの2つにも違いがあります。
①『オスカル編』ではオスカルが誕生するシーンから始まります。オスカル編では子供時代はなく、少年時代はオスカルのみ、アンドレは大人になるまで出てきません。というよりもオスカルが生まれてから衛兵隊転属のシーンまで、一瞬子供時代オスカルが出てくる以外ジャルジェ将軍の一人芝居で時が進むのでオスカルも全然出てきません(笑)
一方の②『オスカルとアンドレ編』はアンドレが田舎からジャルジェ家に越してくるところから始まります。オスカルとアンドレどちらも子供時代のシーンを経て大人になるところが①との大きな違いです。
また、先述した乗り物ですが①は一幕最後にオスカルがペガサスに乗って「♪我が名はオスカル」を歌い、②ではオスカルが死んだあとにアンドレがガラスの馬車で迎えに着ます(笑)
□主人公オスカルパターン 登場人物・配役
・オスカル<トップ男役>
ジャルジェ将軍の娘、男装の麗人。貴族でありながら平等の思想を持つ。
・アンドレ<2番手男役or 役替わり>
オスカルの幼馴染。オスカルの乳母の孫。オスカルのことを愛している。
・ロザリー<トップ娘役>
オスカルに憧れ、心から慕う平民の娘。ベルナールの妻。
・アラン<3番手男役>
衛兵隊士。腕っぷしが強く、情に厚い。オスカルのことが好き。
・ベルナール<3番手男役>
新聞記者。貴族だが平民の声を聞こうとするオスカルを信頼している。ロザリーの夫。
・ジェロ―デル<3番手男役>
オスカルの後任の近衛隊長。貴族であり美しい自分に自信を持つ。オスカルに求婚する。
・ルル―
オスカルの姉・長女オルタンスの娘。おてんばでおしゃまなマスコット的存在
▼オスカル主人公パターン あらすじ
(★赤字は①オスカル編のみ、青字は②オスカルとアンドレ編のみ)
フランスの名貴族、ジャルジェ将軍のもとに6人目の子どもが生まれようとしていた。将軍には既に5人の女の子がおり、今度こそ男の子の誕生を望んでいたが、生まれたのはまたもや女の子。将軍はその子を自らの跡継ぎとすべく男の名である「オスカル」と名付け士官学校に入れて育てる。
勇ましく育つオスカルのもとへ乳母の孫であるアンドレが両親を失い、やってくる。オスカルは早速アンドレに剣の稽古を言いつけ、二人は兄弟のように育っていく。
近衛隊長として活躍していたオスカルはある日、「もう王宮の飾り人形は嫌だ」と荒くれ兵の巣窟、衛兵隊へ転属する。衛兵隊士たちは女のオスカルを侮り、反抗を続ける。しかし一番腕の立つ兵士アランがオスカルを認めたことをきっかけに徐々に心を許していく。
ある日、平民の自由を話し合う場所だった国民議会が突然封鎖され、民衆は今にも蜂起しようとしていた。そのようすを見たオスカルは民衆に加担。それを知った父・ジャルジェ将軍はオスカルを殺そうとするが、アンドレが自分の身をもってかばう。
オスカルはアンドレの深い想いを知り、自らもアンドレを愛していたことに気が付く。
そしてついにオスカル率いる衛兵隊にもパリへの出動命令が下る。出動を告げられた衛兵隊士たちはオスカルがいないところでアンドレを引き留める。実はアンドレは目が見えていなかった。戦場へ行くのは危険だと止める兵士たちにアンドレはオスカルへの深い思いを語り、最後まで共にすることを誓う。
その日の夜、オスカルはアンドレを自室に招き、「私を抱け」と告白する。ついに結ばれたオスカルとアンドレは朝を迎え共に戦闘へ向かう。
オスカルは信念のとおり、国王の名に反し、衛兵隊を連れて民衆と共に戦うことを選ぶ。戦闘のさなか、アンドレが凶弾に倒れる。泣き叫び駆け寄ろうとするオスカルを必死に止めるアラン。オスカルは涙を堪えながら再び戦闘に戻るがついにオスカルも撃たれてしまう。そのとき国王派の象徴バスティーユ牢獄が陥落。民衆勝利の瞬間を見届けてオスカルは息絶える。天国からアンドレが迎えに来て幕を閉じる。
■4作品のまとめ(感想)
めちゃめちゃ雑にまとめると、
・フェルゼン編
…オスカルが存在感強め、アントワネットほとんど出てこない。
・フェルゼンとマリーアントワネット編
…アントワネットがオスカルと同じぐらい出てくる。
・オスカル編
…オスカルが生まれてから死ぬまでをご紹介します!という感じ
・オスカルとアンドレ編
…オスカル、アンドレそれぞれが心の内を歌うシーンが多い。オスカル編の丁寧版。
今回は4パターンに分けてご紹介しましたが、違いはわかりましたでしょうか?何度も再演されてる作品なのでぜひ色々なパターンを観てみてくださいね。
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